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業務改善助成金とは|令和8年度の対象・上限額・申請期限を整理

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業務改善助成金とは|令和8年度の対象・上限額・申請期限を整理

最低賃金の引き上げに合わせて時給を上げたいが、その分の原資をどう作るか。業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金を一定額以上引き上げ、あわせて生産性向上のための設備投資などを行った場合に、その費用の一部が助成される制度です。令和8年度の対象条件、助成上限額、申請期限を厚生労働省の公表資料にもとづいて整理します。

目次

業務改善助成金とはどんな制度か

業務改善助成金は、厚生労働省が所管する助成金です。事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を50円以上引き上げ、同時にPOSレジや機械設備の導入、経営コンサルティングなど生産性向上に資する取り組みを行った中小企業・小規模事業者に対して、その費用の一部を助成します。

融資ではなく助成金なので、返済は不要です。ただし、賃上げと設備投資の両方を実際に行い、計画どおりに完了したことを報告して初めて支給される後払いの制度である点は押さえておいてください。

対象となる事業者

厚生労働省のリーフレットには、対象事業者の要件として次の3点が示されています。

  • 中小企業・小規模事業者であること(大企業と密接な関係を有する、いわゆるみなし大企業でないこと)
  • 事業場内最低賃金が、令和8年度の地域別最低賃金未満であること
  • 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

申請は、工場や事務所など労働者がいる事業所ごとに行います。同じ会社でも工場Aと事務所Bがあれば、それぞれ別に申請する形です。また、労働者がいない場合は助成の対象になりません。従業員の賃金を引き上げるための制度だからです。

賃上げの対象になる労働者

引き上げの対象となるのは、週の所定労働時間が20時間以上の雇用保険加入者で、雇入れ後6か月を経過した労働者です。事業場内最低賃金である労働者に加えて、その人の賃金引き上げによって賃金額が追い抜かれる労働者も、申請コースと同額以上の引き上げを行えば人数に算入できるとされています。

令和8年度の助成上限額と助成率

助成される金額は、設備投資などにかかった費用に助成率をかけた金額と、助成上限額とを比べて、安いほうの金額になります。助成率は、引き上げ前の事業場内最低賃金の水準で決まります。

引上げ前の事業場内最低賃金 助成率
1,050円未満 4/5
1,050円以上 3/4

助成上限額は、賃金の引上げ額(コース)と、引き上げる労働者数、そして事業場規模の3つで決まります。令和8年度は50円・70円・90円の3つのコースが設けられています。

コース 引き上げる労働者数 事業場規模30人未満 左記以外
50円コース
(50円以上の引上げ)
1人 30万円 40万円
2〜3人 40万円 70万円
4〜5人 70万円 70万円
6〜7人 90万円 90万円
8人以上 110万円 110万円
10人以上※ 130万円 130万円
70円コース
(70円以上の引上げ)
1人 40万円 50万円
2〜3人 50万円 100万円
4〜5人 130万円 130万円
6〜7人 180万円 180万円
8人以上 230万円 230万円
10人以上※ 300万円 300万円
90円コース
(90円以上の引上げ)
1人 90万円 100万円
2〜3人 150万円 240万円
4〜5人 270万円 270万円
6〜7人 360万円 360万円
8人以上 450万円 450万円
10人以上※ 600万円 600万円

※「10人以上」の上限額区分は、後述する特例事業者が10人以上の労働者の賃金を引き上げる場合に対象になると記載されています。
※記載の金額・要件は2026年9月時点で厚生労働省が公表していた令和8年度の内容です。制度の内容や要件は変更される場合がありますので、申請前に最新の交付要綱・要領をご確認ください。

厚生労働省のリーフレットには計算例も示されています。事業場内最低賃金が1,040円(助成率4/5)で、8人の労働者を1,130円まで引き上げ(90円コース・上限450万円)、設備投資の額が600万円の場合、600万円×4/5=480万円と上限450万円を比べて、安いほうの450万円が支給されるという内容です。

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特例事業者になると上限と対象経費が広がる

次のいずれかに当てはまる場合は特例事業者となり、助成上限額の拡大(10人以上の区分)が受けられます。

  • 賃金要件:申請事業場の事業場内最低賃金が1,050円未満である事業者
  • 物価高騰等要件:原材料費の高騰など外的要因により、申請前6か月間平均の利益率(売上高総利益率または売上高営業利益率)が前年同期に比べて3%ポイント以上低下している事業者

このうち物価高騰等要件に該当する場合は、通常は対象外となるパソコン・スマートフォン・タブレット等の端末と周辺機器の新規導入も助成対象経費に加わります。ただし、あわせて就業規則等に事業場内最低賃金が1,100円である旨を定める必要があると記載されています。物価高騰等要件で申請する場合は、事業活動の状況に関する申出書の提出が必要です。

令和7年度からの主な変更点

  • 助成対象経費の特例となっていた自動車(特殊用途自動車を除く)が、助成対象外になりました。
  • 引き上げる対象労働者が、雇用保険被保険者が対象となりました。
  • 物価高騰等要件の利益率の見方が、「最近3か月間のうち任意の1月」から「最近6か月間平均」に変わりました。

申請期限とスケジュール

令和8年度の受付は令和8年9月1日に開始しています。申請期間は、令和8年9月1日から、申請事業場の都道府県において適用される地域別最低賃金の発効日の前日、または同年11月30日のいずれか早い日までとされています。地域別最低賃金の発効日は都道府県ごとに異なりますので、自社の所在地の発効日を確認してください。

事業完了期限は、交付決定の属する年度の1月31日です。導入機器等の納品、支払いの完了、賃金引上げのいずれもこの日までに終えている必要があります。やむを得ない理由がある場合は、あらかじめ理由書とともに申請することで3月31日まで延長される場合があると記載されています。

つまずきやすい注意点

  • 交付決定前に設備を導入すると対象外になります。先に買ってから申請、という順番は認められません。
  • 地域別最低賃金の発効に合わせて引き上げる場合は、発効日の前日までに引き上げを完了する必要があります。発効日当日に実施すると対象外と明記されています。
  • 引き上げ後の事業場内最低賃金額と同額を、就業規則等に定める必要があります。
  • 複数回に分けての引き上げは認められていません。
  • 同一事業所の申請は年度内1回までです。
  • 予算の範囲内での交付となるため、申請期間内に募集を終了する場合があると記載されています。

手続きの流れは、交付申請 → 交付決定 → 事業の実施(賃上げ・設備導入・支払い)→ 事業実績報告と支給申請 → 交付額の確定と支払い、という順です。申請窓口は事業所の所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)で、GビズIDプライムがあればJグランツによる電子申請も利用できます。制度についての問い合わせ先として、業務改善助成金コールセンター(0120-366-440、受付時間 平日9:00〜17:00)が案内されています。

なお厚生労働省は、同省から委託を受けたと装って助成金の活用を勧誘する事業者が存在するとの注意喚起も行っています。厚生労働省や労働局が特定の事業者に勧誘を委託することはない、とされていますので、この点はご留意ください。

よくある質問

Q. 賃上げの原資そのものは助成されますか。
A. 助成されるのは、生産性向上に資する設備投資などにかかった費用の一部です。引き上げた賃金そのものが助成されるわけではありません。賃上げは助成を受けるための要件という位置づけです。

Q. 過去に業務改善助成金を使ったことがあっても申請できますか。
A. 厚生労働省のリーフレットには、過去に業務改善助成金を活用した事業者も助成対象となると記載されています。ただし同一事業所の申請は年度内1回までとされています。

Q. 申請から入金までどのくらいかかりますか。
A. 交付決定を受けてから事業を実施し、完了後に実績報告と支給申請を行い、その審査を経て支払われる流れです。審査の状況により期間は変わるため、あらかじめ日数を確約するものではありません。設備の支払いは先に自社で行う必要がありますので、資金繰りの計画は助成金の入金を当てにしすぎない形で立ててください。

Q. 個人事業主でも対象になりますか。
A. 中小企業・小規模事業者であることなどの要件を満たせば、事業形態を問わず対象になり得ます。ただし労働者(従業員)がいない場合は対象外です。個別の該当可否は、管轄の都道府県労働局またはコールセンターにご確認ください。

まとめ

業務改善助成金は、最低賃金の引き上げに合わせて設備投資を検討している事業者にとって、負担を抑える選択肢のひとつです。令和8年度は50円・70円・90円の3コース制で、助成率は引上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満なら4/5、1,050円以上なら3/4。上限額はコースと人数、事業場規模で決まります。

注意したいのは、交付決定前の導入は対象外であること、引き上げは地域別最低賃金の発効日の前日までに完了する必要があること、そして申請期限が地域別最低賃金の発効日と11月30日のいずれか早い日であることです。動き出しが遅れると年度内に間に合いません。要件の判断に迷う場合は、管轄の労働局やコールセンターに早めに相談してください。

資金繰りの公的支援・相談窓口を見る →

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、助成の可否を保証するものではありません。制度の要件・金額・期限は変更される場合がありますので、申請にあたっては最新の交付要綱・要領と管轄の都道府県労働局の案内をご確認ください。参考:厚生労働省「業務改善助成金」および「令和8年度業務改善助成金のご案内」(2026年9月11日確認)。当サイトの方針は運営者情報および免責事項をご覧ください。

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この記事を書いた人

新潟を拠点に、中小企業・個人事業主向けのWebメディア運営とマーケティング支援を行っています。資金繰り・資金調達に悩む事業者へ、ファクタリング・融資・公的支援などの選択肢を、各社の公式条件や一次情報をもとに中立・事実ベースで解説します。景表法・貸金業法などのルールを踏まえ、読者が自分で判断できる情報提供を心がけています。

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